建築基準法改正について
改正建築基準法におけるエレベーターの安全強化
1. 戸開走行保護装置の設置義務付け 【施行令第29条の10第3項第1号関連】
エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降したときなどに、自動的にかごを制止する安全装置の設置が義務付けられました。戸開走行保護装置については、国土交通大臣の認定を取得する必要があります。
戸開走行保護装置(UCMP)
- (1) 戸開走行判定装置
- 制動装置や制御回路のうち、ひとつでも故障状態になった場合には、独立した回路で戸開走行を検出し、かごが制止されます。
- (2) 制動装置二重化
-
・ロープ式
2個の機械的に独立した機械式ブレーキにより制動力を確保します。
・油圧式
2個の機械的に独立した油圧式逆止弁により制動力を確保します。 - (3) 特定距離感知装置
- エレベーターの位置を検知します。スイッチの二重化が必要です。
- (4) かご戸スイッチ
- 強制乖離機構のスイッチ又はスイッチの二重化が必要です。
- (5) 乗場戸スイッチ
-
乗場戸の開閉状態を検知します。
強制乖離機構のスイッチ又はスイッチの二重化が必要です。
2. 地震時管制運転装置の設置義務付け 【施行令第129条の10第3項第2号関連】
地震などの加速度を検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入り口の戸及び昇降路の出入口の戸を開くことなどができることとする安全装置の設置が義務付けられました。
地震時管制運転装置には、下記の装置で構成することが義務付けられています。
(1) 地震時管制運転(P波、S波感知器)
初期微動(P波)及び主要動(S波)を検知し、最寄階に停止させ乗客を避難させます。
(2) 予備電源(停電時自動着床装置又は自家発電源)
停電時でも乗客が閉じ込めにならないように、予備電源が必要になります。
3. 安全対策の強化(基準の明確化) 【施行令第129条の4から第129条の10関連】
エレベーターの安全対策の強化を図るため、エレベーターのかご、主要な支持部分、昇降路並びに駆動装置および制御器の構造のうち、
一定の部分にあっては、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすることなど、エレベーターの安全に係わる技術基準が明確化
されました。
告示番号 | 告示条文 | 概要 | 備考 |
---|---|---|---|
第703号 | エレベーターの駆動装置及び制御器が地震その他の震動によって転倒し又は移動するおそれがない方法を定める件 | エレベーターの駆動装置と制御器が地震により移動・転倒しない方法の規定 | |
第1413号 | 特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーターの構造方法を定める件 | 特殊な構造又は使用形態のエレベーター(第1から第10号)とエスカレーター(第1号から第3号)の構造方法の規定 | 告示第859号にて、告示第1413号の一部改正 特殊構造の組み合わせを規制 |
第1446号 | 小荷物専用昇降機の昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準を定める件 | 小荷物専用昇降機の昇降路の構造等の規定 (昇降路壁及び戸の強度5㎠の面に300Nの力で15mm超える変形なし、戸の隙間6mm以下、壁・戸のガラス適用条件等) | 一部の内容については 平成22年9月28日施行 |
第1447号 | 昇降路外の人又は物が昇降路内に落下するおそれのない昇降路の出入口の戸の施錠装置の基準を定める件 | エレベーターの昇降路の出入口戸の施錠装置の規定 | |
第1454号 | 昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準を定める件 | エレベーターの昇降路の構造等の規定 (昇降路壁及び戸の強度5㎠の面に300Nの力で15mm超える変形なし、戸の隙間6mm以下、戸閉力150N以下、壁・戸のガラス適用条件等) | 一部の内容については 平成22年9月28日施行 |
第1455号 | かご内の人又は物による衝撃に対して安全なかごの各部の構造方法及びかご内の人又は物がかご外の物に触れるおそれのないかごの壁又は囲い及び出入口の戸の基準を定める件 | エレベーターのかごの構造等の規定 (かご壁及び戸の強度5㎠の面に300Nの力で15mm超える変形なし、かご照明床面で50ルクス以上、かご天井高さ2m以上、戸の隙間8mm以下、戸の反転装置、戸閉力150N以下、壁・戸のガラス適用条件等) |
一部の内容については 平成22年9月28日施行 |
第1461号 | 確認審査等に関する指針に従って確認検査等を行ったことを証する書類の様式を定める件 | 確認申請図書の追加内容の規定 (保守点検内容及び主要支持部分の位置及び構造図の追加) |
関連告示第885号 |
第1469号 | エレベーターの制御器の構造方法を定める件 | エレベーターの昇降制御及び床合わせ制御等に関する規定 | |
第1494号 | 滑節構造とした接合部が地震その他の震動によって外れるおそれがない構造方法を定める件 | エレベーターの構造上主要な部分についての規定 | |
第1495号 | 建築基準法施行令第百二十九条の七第五号イ(2)の国土交通大臣が定める措置を定める件 | エレベーターの昇降路の構造等の規定 (地震時のロープ、ケーブル類の引っかかり防止構造) | |
第1498号 | 滑車を使用してかごを吊るエレベーターが地震その他の震動によって索が滑車から外れるおそれがない構造方法を定める件 | エレベーターの構造上主要な部分の地震対応についての規定。 (滑車部分のロープ外れ止め構造) |
|
第1536号 | 地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度並びに当該加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置の構造方法を定める件 | 地震時管制運転装置の設置義務付けの詳細な内容の規定 (地震時管制運転、感知器の設置位置・方法、加速度感知後の動作、管制運転の表示、停電時に作動するための予備電源) |